空間
室町通の歴史と、この建物への私たちの想いを実現するため、京都を知り尽くした名工「中村外二工務店」さんに、総合監修をお願いしました。ファサード部分は、元々呉服屋だった京町家の表屋部分を保存・復元したものです。正面を飾る糸屋格子は、江戸時代より呉服屋の意匠でした。生まれ変わった姿で室町通の景色に溶け込んでいます。
表玄関を抜けると、松の庭を望む表家がお迎えします。ここはかつて商いを行っていたスペースでした。天井には、この京町家が建てられた明治32年の文字が記された棟木が残っています。表家の先には、町家建築の特徴である走り庭が目線を奥へと誘います。かつては、玄関から裏庭に抜ける通り道で、台所としても使われていました。今は、ホテル客室へのエレベーターと「くら(蔵)」につながっています。
ゆったりと配されたテーブル席とソファ席、合わせて28席の開放的なダイニング。吹き抜けの天井には、元の京町家にあった太い梁が大胆に組まれています。120年の年月と伝統の手技が醸す空気感に、デンマークのJ.L.モラーの椅子や、辻村史朗氏のアートなどコンテンポラリーデザインが心地よく融合しています。大きな窓の先は、京都の自然を切りとったような庭へと続きます。この特別な空間で、大切なひとときをごゆっくりとお過ごしください。
※少人数での会食やビジネスシーンなどにご利用いただける、プライベートダイニングが1室ございます。(12名様まで)
プライベートダイニング
「光」を表現した竹の庭には、元々この敷地にあった景石と井筒が無造作に配されています。ホテルのスタッフたちによって日々散水が行われ、足元の苔も大切に育まれています。京町家の生活様式や美意識を再現するにあたり、この建物の内部に「自然を感じ、和らぎを与えてくれる庭」をもうけることは、とても重要でした。表屋や母屋よりも古いと思われる蔵は、強度の理由から解体後に復元し、外装の扉や丁番、瓦の一部などは元の蔵のものを使用しています。